中国の会計準則

二階層

企業会計準則(1992:公布、1993.7.1:施行)

具体会計準則(2000.1.19つ公布)

(1)企業会計準則

@企業会計準則の目的と会計計算の基本前提

制定の目的(第1章第1条)

「我が国の社会主義市場経済発展の必要性に適応し、会計計算の基準を統一し、会計情報の品質を保証するため、中華人民共和国会計法に基づいて、本準則を制定する。」

会計計算の基本前提

会計機構と会計人員が会計処理を行うに際して守らなければならない前提条件
・会計主体
・継続経営
・会計期間
・貨幣的測定

A一般原則

(a)    真実性原則

(b)    関連性原則

(c) 比較可能性原則

(d)    一致性原則

(e)適時性原則

(f) 明瞭性原則

(g)    発生主義の原則

(h)    対応性原則

(i)  慎重性原則

(j)  実際原価原則

(k)    収益的支出と資本的支出を区分する原則

(l)  全体性原則

B会計要素の準則

一般原則に基づいて会計の基本要素から出発して、会計計算に具体的な指導的規範を与えるもの

・資産要素準則

・負債要素準則

・所有者持分準則

・収入要素準則

・費用要素準則

・利益要素準則

役割

会計計算に具体的な指導を与えること
資産、負債、所有者持分、収入、費用及び利益などの要素について一般的に規定

C財務諸表準則

(2)具体会計準則

性質

「企業会計準則」による「基本会計準則」の要求に基づいて、経済取引に関する会計処理に具体的な操作標準を与えるもの

a)実用性

企業の会計計算事務に対する具体的規範
各具体会計準則はその実用性が強い

b)適応性

適用範囲、術語、会計計算と財務諸表の内容及びその開示方法を詳細に定めている

内容

a)基本業務面の具体的準則

固定資産、減価償却、無形資産、所有者持分、研究と開発、売掛金、棚卸資産、投資など

b)財務諸表の具体的準則

財務諸表の様式、内容、作成方法、述べ順位等

c)特別業種に関する具体会計準則

外貨業務、賃借業務、清算業務等

(3)設定された9つの具体会計準則

@「企業会計準則―関連当事者の関係及び取引に関する開示」(1997.7.1:公布)

A「企業会計準則―キャッシュ・フロー計算書」(1998.1.1:施行)

B「企業会計準則―後発事象」(1998.1.1:施行)

C「企業会計準則―債務再構築」(1999.1.1:施行)

債務再構築の方式

(a)      資産の譲渡による債務に返済
(b)      債務の資本への転換
(c)       a)、(b)の方式を含まない債務条件の修正
(d)      a)、(b)、(c)の組合せ

D「企業会計準則―収益」(1999.1.1:施行)

収益の認識

(a)      商品の販売による収益
(b)      役務の提供による収益
(c)       第三者の利用に供するため企業の資産を提供することによって生ずる収益

E「企業会計準則―投資」(1999.1.1:施行)

F「企業会計準則―工事契約」(1999.1.1:施行)

G「企業会計準則―会計方針、会計上の見積りの変更及び会計誤謬の訂正」(1999.1.1:施行)

目的

会計方針の変更、会計場の見積もりの変更及び会計誤謬の訂正が発生するとき、会計情報の比較可能性を最大限に保証し、会計情報の有用性を高め、財務諸表の利用者に企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの会計情報をより正確に理解させること

会計方針

企業が会計処理の中で遵守する特定の具体原則及び適用する会計処理方法

会計上の見積り

結果の確定できない取引あるいは事象について、最新の利用可能な情報に基いて行う判断

会計誤謬

会計処理を行う際、測定、認識、機朗により発生する誤謬のこと

H「企業会計準則―非貨幣性取引」(2000.1.1:施行)

非貨幣性取引

取引双方が非貨幣性資産を持って交換を行うことをいう。その交換は貨幣資産に関連しない、あるいは少量の貨幣資産に関連する

 

<参考文献>

『日中会計モデルの比較研究』税務経理協会、20013月、8290