現代企業制度の確立

「現代企業制度」

企業

国を含む出資者の投資によって形成された法人の全資産を持ち、法に基づいて自主経営し、損益自己負担を行ない、出資者に対して資産価値の保全・増大に責任を負う。

出資者

投資額に応じて所有者の権利を有し、企業が破産した場合、投資資本額をあてに企業債務に有限責任を負う。

政府

企業の生産経営活動に直接関与せず、企業が放棄赤字・債務超過になれば、法に従って破産させる(「社会主義市場経済体制の確立の若干問題に関する中共中央の決定」)。

「公司制(会社制)」の導入

 現存の大中国有企業を業種などによって、独資公司、有限公司と株式公司といった法人の資格を持つ、規制化された各種の公司に再編成させる

 

中共15期党大会(19979月)

国民経済の命脈に関わる重要業種と肝要分野を除いて、国有経済は支配的地位を占める必要がないとの方針

中国政府(1994年から)

全国100社の国有企業をモデル・ケースとして、現代企業制度の導入に着手

*各地方政府が指定した企業を入れると

モデル・ケース企業数:2,700

2000年末

これらの企業の大部分は公司制を導入し、国家重点企業520社のうち、8割以上は有限公司又は株式公司に改造

公司制を導入した国有企業の中身

現代企業制度が目指す目標とは大きな隔たり

公司制に再編成された企業には国有独資(100%の国有)、あるいは国が大多数の株を所有するものが大半を占めている

 

国家経済貿易委員会の調査

国家重点企業520社のうち、「当市主体の多元化」を実現した企業は全体の14

社会主義国家

「公司法」の規定によって設けられた「新三会」(株主総会、監査役会、董事会)と、従来、企業経営に大きな影響力を持った「老三会」(党委員会、工会=労働組合、職工代表大会=社員代表大会)との関係をどう処理するかが課題

 

<参考文献>

馬成三『中国経済の読み方―「世界の工場」を知る80ポイント』日本貿易振興会、20029月、P122,123