企業所得税の納税義務者

1)納税義務者と課税所得

外国投資企業及び外国企業所得税法の納税義務者

合弁企業、合作企業、外資企業と外国企業

外国投資企業

中国国内に設立された中外合資経営企業(合弁企業)、中外合作企業(合作企業)及び外資企業を総称するもの

中国国内に本部機構を有する外国投資企業

無制限納税義務者として中国国内及び国外の瀬ベ手の所得に対して納税義務を負う

中国国内に本部機構をもたない外国投資企業

例)法人として設立されない合作企業

→制限納税者として中国国内に源泉のある所得に対してのみ納税義務を負う

制限納税義務者としての外国企業

中国国内に設立された機構、場所において生産、経営所得を有する外国企業

中国国内源泉所得である事業所得に対してのみ納税義務を負う

中国国内に機構、場所を設立していないが中国国内に源泉のある所得を有する外国企業

中国国内源泉所得である投資所得または資産所得に対してのみ納税義務を負う

本部機構

中国の法律に基づいて企業法人を構成する外国投資企業が、企業の経営管理と統制に責任を有する中国国内において設立された中心的な機構を指すもの(本店所在地主義)

中国国内源泉所得と国外源泉所得の区分

事業所得と投資所得(または資産所得)に分けて定義

事業所得

外国投資企業または外国企業の中国国内に設立された機構、場所が生産、経営に従事して得た所得

*事業所得の国内源泉所得の定義はこれだけ

具体的な定義すなわち仕入れ、製造、販売、注解、請負等の事業行為による所得の源泉地の判定基準は明記されていない

中国国内に設立された機構、場所と実質的に関連する資産所得、すなわち配当、利子、賃貸料、特許権使用料等もその事業所得に含まれる

中国国内に機構、場所をもたない外国企業の中国国内源泉所得(投資所得)

源泉地の判定に使用地主義が採用

@     中国国内の企業から取得する利益(配当)

A     中国国内から取得する預金もしくは貸付金の利子、債券の利子、立替金もしくは延払金の利子等

B     財産を中国国内の賃借人に賃貸して取得する賃貸料

C     中国国内において使用する特許権、占有技術、商標権、著作権等を提供して取得する使用料

D     中国国内に損する建物、構築物及びその他附属設備、土地使用検討の財産を譲渡して取得する収益

E     財政部が課税するものと定める中国国内から取得するその他の所得

機構、場所の定義

管理機構、営業機構、事業機構並びに工場、天然資源開発採掘場所、建築・取付・組立・探査等の請負による工事作業場所並びに役務提供の場所、営業代理人等を指すもの

2)事業所得の課税所得計算

@事業所得の範囲と計算

申告納税による事業所得(生産、経営所得)

製造業、採掘業、交通運輸業、建築業、農業、林業、牧畜業、漁業、水利業、商業、金融業、保険業、サービス業、開発探査業及びその他の業種に従事する生産、経営所得

配当、利子、賃貸料、財産譲渡益、特許権・専有技術・商標権並びに著作権の提供もしくは譲渡益及び営業外収益等の所得

課税所得

納税年度の収入総額から原価、費用及び損失を控除減額した差額

A例外的な課税所得計算方式

みなし課税の適用を受ける駐在員事務所、建設請負工事現場等

推定利益課税方式及び経費課税方式により課税所得計算を行なうことも認められている

推定利益課税方式

税務当局が同業種または類似業種の利益水準を参照して利益率を推定しその課税所得額を計算する

経費課税方式

税務当局が原価、費用に合理的な利益を加算する等

課税所得額の計算(3通りの方式)

@所得課税方式

外国投資企業及び正確に課税所得計算を実施できる外国企業

A推定利益課税方式

原価、費用の証憑を提出できない外国企業で、主に駐在員事務所、建設請負工事現場等

B経費課税方式

収入の証憑を提出できない外国企業で、主に商社等の駐在員事務所

 

<参考文献>

近藤義雄『中国現地法人の経営・会計・税務 第2版』中央経済社、2002年、P124129