期待キャッシュ・フローについて

20022月:SFAC7号「Using Cash Flow Information and Present Value in Accounting Measurements

長期性資産の減損そして資産撤去にかかる債務に関する会計基準公開草案に取り入れた

SFAS143,144

主要な異議(SFAC7号の異議と同様)

@     現在価値測定を進展するにあたり期待キャッシュ・フロー・アプローチを採用すること

A     当初認識時の測定および事後のフレッシュ・スターと測定時に現在価値が用いられる場合には、測定の目標を公正価値に置くこと

B     負債の測定にあたりと当該企業の信用度を反映させること

SFAC7号←概念フレームワークの主流から逸脱したもの

測定の技法に極めて特価

ほとんど普及していなかった考え方や技法

 ↑

諸原理:1970年代初頭の会計基準において初めて現れた考え方を受け継いだもの

 ↑

根本:1950年代またはそれ以前に遡る経済学およびファイナンスの原理を応用したもの

最善の見積りか期待価値か

最善の見積り

→これまで厳密にて意義付けられたことはなかった

性格

@     偏向がない

A     起こりうる結果の範囲内での「最も生じえる」であろう金額

B     単一の金額またはある一点における見積り

他の職業分野(統計学者、保険数理士、科学者、エンジニア等)

最善の見積りと最も生じえるを同一視する慣行はない

最善の見積りという用語を避ける

→期待値

確立によって加重された平均値

会計

最も生じえる=最善の見積り

背景:APB21号「債権および債務の利息」

複雑でない金融商品

利子率と価格と契約上のキャッシュ・フローの三者間の関係は直接的で簡明

 ↓

他のキャッシュ・フローに基づく測定に応用

 ↓

測定問題が複雑

 ↓

単純な仕組みでは容易でなくなりつつある

契約どおりのキャッシュ・フロー

生起しえる最大の金額

債権・債務ではない資産・負債

契約上のキャッシュ・フローに該当するものがない

確定した支払予定期日がない

現在価値を利用するあらゆる会計測定にあたる必要条件

確定したまたは確定可能な期日に金銭を受け取る契約上の権利または金銭を支払う契約上の義務

 ↓多くの測定

割引計算しない見積将来キャッシュ・フローの合計額

時間的価値の影響が蒸し

割引計算しない最善の見積り

⇒評価ではなくただの予想

財務報告の目的

投資家および債権者その他のものが、対象企業への将来の正味キャッシュ・インフローの金額、時期および不確実性について評価する

割引計算を行わない最善の見積り

     決済支出の期待額

     現時点の価額または取得したり発生したりした時点における価値ではない

     将来キャッシュフローの生じる時期や不確実性について何も語らない

     有用性に非常に乏しい

「金額、時期、不確実性」

  ↑

情報を伝える唯一の方法

⇒三つの要素を測定に反映させる

   ↓

割引計算が必要

   ↓その結果

基礎となっている資産または負債の評価額

→現在価値

報告される金額←評価

現在価値についての伝統的アプローチの諸問題

現在価値を要請する会計基準(2つのグループ)

@     SFAS87号(年金)やSFAS106号(その他の退職後給付)といった基準書は、キャッシュ・フローおよび利子率の仮定方法についてある程度詳細に記述

A     一般的な指針を示すのみで、見積りキャッシュ・フローは「含まれているリスクに相応する利子率」を適用して割り引く

審議会の初期の審議

キャッシュ・フローの最善の見積りを展開

  ↓

それを整合した利子率を選択

⇒「適切な」利子率ばかり追い求めることは非生産的

契約によるキャッシュ・フロー→見積もりキャッシュ・フローへ視点を変える

旧来型の利子率とキャッシュ・フロー間の関係はもはや有効でない

期待キャッシュ・フローアプローチ

複雑な測定問題により優れた概念構造を提供

期待キャッシュ・フローアプローチの適用について

経済価値を構成する要素(SFAC7号第23項、第39項)

a.      将来の見積りキャッシュ・フロー金額、または、より複雑なケースでは生起する時期の異なる将来の一連のキャッシュ・フロー金額

b.      項目a.キャッシュ・フローの金額または発生時期が見積りとかけ離れる予定

c.       リスク・フリー利子率に表現される貨幣の時間的価値

d.      当該資産・負債の持つ固有の不確実性を負う対価

e.      その他のしばしば識別不可能な要素、例えば、流動性の欠如、市場の不完全性など

現在価値の実用のための原則

a.      どの要因も見逃さないこと

b.      首尾一貫した仮定を用いること、そして同じことを重複して計算に入れないこと

c.       秤の目盛りを自分勝手にいじらないこと

d.      単一の最も生じえる、最少、最大というような唯一の金額を目標にするのではなく、一定の範囲内での平均額を目標にすること

e.      知らないことについて勝手に創作しないこと

 

<参考文献>

エドワード・W・トロット、ウェイン・S・アプトン 訳:澤悦男、佐藤真良「FASB概念フレームワークの論点A」『企業会計』Vol.54 No.7、中央経済社、20027